北アルプスの麓、信濃大町。 山々から流れる雪解け水が 長い年月をかけて山肌を通り 地層に磨かれることで 「八彩」の水を生む。 そこに水がある。 恩恵への感謝が 市野屋の源。

杉木の麹室は呼吸し 唯一無二の生態系をつくる。 人知が及ばない 自然による化学変化を 愉しみにする心とともに。

一日として 同じ日はないように、 その年々、 酒づくりに向き合いたい。 そのために良質な米を選ぶ。 その年の米を利く。

神が宿ると崇められてきた、 北アルプスの山々。 自然への畏敬の念は 酒づくりの精神を 清らかに育む。

上質な水と米があっても 人の感性と知恵がなければ いい日本酒は生まれない。 そして杜氏と蔵人の和こそ 未来へ続く酒をつくる。

今を生きる酒を醸す

OurBelief

酒の起源は「古事記」に遡る。 かつて、明治の詩人はこう詠った。 讃うべき哉。 古事記の人々。 その独自な発明の知恵。 その陶然と浩然と歌と踊りを。 現代の。そして未来の友よ。 賞めたたえよ。 美しいニッポンの。 ニッポンの酒を。 ―草野心平「日本の酒」より抜粋― 四季があり、美しい水と大地がある日本。 だからこその精神性が生んだ日本酒を わたしたちは継承し、つくり続けてきた。 そこにはいつも、 「讃える」「現代の」「友」がいて 日本酒は完成する。 だからこそわたしたちは「現代の。未来の友」へ。 今を生きる日本酒をつくる。 技法を学び、 一枚の絵を現代に描く画家のように、 伝統を継承しながらも、 今、届けたい日本酒の味わいを想い描く。 色を選び、絵筆で重ねるように、 その年々の米に合わせ、水の味わいを利き、 醪をデザインする。 「一つとして同じ酒はない」作品として、 発酵を見極め、一本を探求していく。 その技の研鑽と未来への継承こそ 市野屋のプライド。 天賦の水源を与えられた、わたしたちの使命。

市野屋でしか生まれない酒づくりを

Brewing

稲作を起源に、 神のためにつくられ始めたといわれる日本酒。 神がつくった水と米に感謝し、 次の年への豊穣を祈念し。 水と米を育む自然への敬意をつなぎ、拓くこと。 市野屋のイノベーション。 風土や気候に委ねず、技術の革新により四季醸造へ。 効率化により生まれた時間は、 蔵人の学び、育成の機会となる。 美味しい酒の命は人の感性と想像力。 世相を読み、嗜好を想像し、思い描いた日本酒を 五感と第六感で仕込んでいく。 水と米を利き、そこから生まれる麹、酒母、 酵母、醪を観察し調和させていく。 水と米と自然の力と 人の感性を何層にも重ね つくられた酒こそ市野屋の個性。

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「八彩」の水源を個性に

Identitiy

湧き水、地下水、川の水――。 北アルプス連峰の山々から流れる雪解け水が 自然にろ過され、水源となって生まれ出る。 居谷里、矢沢、上白沢をはじめとする水源が八箇所もあり、 一万五千年前から、ここ大町市は「水どころ」。 水が流れる道のりが違えば、味わいも変わる。 時間の厚みとともにミネラルの含有量に差異が生まれ、 ただ美味しいだけではなく、 口に含んだときの甘さや凛々しさの違う水が里に届く。 硬度の違う水があることこそ、この場所の宝。 だからこそ、「日本酒は軟水で作る」という固定概念ではなく、 市野屋が思い描く日本酒に合わせて水を利き、選び、調和させる。 単一水に拘らず、ときには水源の違う水を合わせたっていい。 水のアッサンブラージュ。 酒造りの命の水の重なりがまた、唯一無二の味わいとなる。

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